開かない扉






「土方さん、怒ってるんですかィ?」
「当たり前だ」
真撰組に―――、近藤さんに、俺に隠して非番の日にこそこそと動いていた総悟が許せなかった。
煉獄関に探りを入れるなんて頭が悪すぎる。
副長室に呼び出された総悟は例によって、しれっとした顔で座っている。
先程から俺は自分の感情を持て余していた。苛立ちがおさまらず、熱い塊を飲みこんだように腹の奥がじりじりと焦げ付く。
「だから、土方さんは見て見ぬ振りしてくれりゃいいんでさァ」
「・・・真撰組を巻き込む気はねえってことなんだな」
そして、あの男を引き込んだのか・・・・。
俺の飲み込んだ言葉に気付いたように、沖田は口を開いた。
「万事屋の旦那は何にも縛られてねえ。自由に動けて、俺と同じ考えをしてる。利用しただけでさァ」
「利用?手前も同じように動きたいんじゃねえのか?隊を抜けて万事屋になりゃいいだろ」
「・・・・・・」
俺が吐き捨てた言葉にふと笑った総悟を見て、目の前が真っ赤になった。
出来る筈もないが望んでいる―――、そう言っているように見えた。
俺は立ち上がると、総悟の襟元を掴んで喉を締め上げた。
「やってみろ、俺に殺されてえならな」
「・・・方さん、瞳孔開いてやすぜ・・・」
苦しそうに息をしながら、それでも平然と総悟は言った。
「今は煉獄関に手ぇ出す時期じゃねえって言ってんだ。なんで、よりによってあの男に言うんだ、お前はあの男を――――」
その瞬間、総悟の黒目がちの瞳が大きく見開かれたのに気付いた。
俺は今、何を口走った?
「・・・土方さんを信用してねえ訳じゃねえって・・・」
言いながら、総悟は目を逸らした。俺は自分の体温が上がったのを感じた。
言い訳にしか聞こえない。
気付いた時には総悟の口を塞いでいた。
噛み付く様に唇を合わせてその口に無理矢理舌を捻じ込んで息を奪った。
総悟はもがいて抵抗を見せたが、キャリアがある分俺の方が有利だった。
脇に置いてあった刀を足で部屋の隅へと滑らせ、空をさ迷う腕を掴んで動きを封じる。
どうして、と自分に問い掛けたいほど頭に血が上っていた。感情と、衝動のみに支配される感覚。全てがどうなってもいいとさえ思えた。
驚きに見開かれた瞳が見上げてくる。
「・・・正気ですかィ?本気で抵抗しやすぜ?」
「そうしてくれ。・・・止まりそうにねえ」











長い時間だったと思う。
我に返った時目に飛び込んだのは、色の変わった総悟の手首だった。力任せに捻り上げて押し付けたそこは、俺の手の形にくっきりと痣がついていた。
手首だけじゃない、色素の薄い身体にはあちこちに鬱血の跡が残っていた。
総悟はあまりのことに呆然とし、上手く言葉を出せないでいる。俺も同じだった。
自制の利かなかったのは始めてだ。それも、総悟相手に。
相手が腕が立つだけに、自分も本気にならざるを得なかった。負けたくないという意地もあったと思うが、これはただの強姦だ。
俺は自分のした事を後悔した。
「・・・痛ェ・・・」
ゆっくりと身体を起して、総悟は顔を顰めた。
総悟の抵抗も俺に止める気がないと悟った後は弱いものに変わったが、良く見ると自分の体にもあちこちに血が滲んでいた。噛まれた跡もある。
謝るべきなのか、果たしてそれで許されるのか。ぼんやりと考えた時、
「すまねぇ」
総悟の発した言葉に俺は顔を上げた。
そのまま、総悟はのろのろと服を整えて立ち上がり、振り返った。
「怒らせてすまねェ」
もう一度そう言うと、部屋を出て行った。
閉じられた扉を見つめながら、俺は自分の気持ちに気がついた。
それは、餓鬼の嫉妬と同じだった。
俺は総悟が好きなのだ。















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あ〜あ、やっちまったよ。
果たして通用するのでしょうか?誰か理解者はいて下さるのでしょうか?
シリアスバージョン土×沖。
大半の方に「にせものだ」と石ぶつけられそうで怖いっす。
あの、まんがは・・・、ギャグで描いてますから・・・。



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