色んなものを全部全部取り払って、
そんで空っぽになったら、今度はあなただけで埋め尽くして頂戴。
なんて、そんな可愛げのあることは言えないけれど、
でも、でもこのぐるぐるとした胸の中が、
もし、綺麗に整理されて、必要なお人のことだけ考えていられるならば、
それはきっと、幸せで仕方がないだろうに。
あぁ、でもきっと。
俺はしがらみと言う名の命綱によって生きているのだから、
きっと取っ払ってしまったら、弱弱しくもどこかへことりと倒れて、
そのまま起き上がるための手を望むことすら出来ないだろうな。
ほんとの自由になっちまえば、羽なんて開くまもなく急降下。
そうしてはダメと、抑制するのと、
いっそそうしてしまえと、肩を押すのと
どっちが残酷?
もし結果がわかっているなら、どっちだって残酷だ。
だけど、本当は残酷だってなんだって、
このまま宙ぶらりんよりされたいの。
誰か誰かと、さまよう手はいらない。
ただあの人を、ひたすらに追える強い手がほしい。
たった一つでいいのだから、どうかその一つを離さずにいられるように。
かたくなである俺を、いつの間にか突き崩したあの手のように
どうぞどうぞ、遠のかぬまま。
其れが駄目なら
ふらりふらりと、どうぞ気まぐれなあの人を、此処に留めて置けるような強力な接着剤を。
おねがいよ、さんたくろーすのおじさん。
・・・
「訂正」
さんたくろーすのおじサマ。
空に向かって願っていたら、不意に腕を引く、強い力。
なにをしているのか?と問う声と共に、
本日見られぬと思ったお姿。
似合わぬ顔で、似合わぬ可愛い包み紙。
プレゼントだと、言われもせずに渡されて
あらま、さんたくろーすも馬鹿にはできん。と、突然俺は偉そうになって
よくやった、サンタよ。
と、居所の知れぬ彼の人に賞賛の声を一つ。
何がすきかいまいちわからないというその人に、
本当のプレゼントなんて、あなたがくれる時間で十分です。
そんなことを心に落とす。
言えばきっと、苦い顔、をなさるので。
口には出さずじまいでも。
にこりと笑ってやれば、なんとも複雑な顔を返された。
そのとたん、信じられぬ暖かさ。
なんだ、空っぽになんてならなくたって、
この人の入り込む隙間なら、どこでもそこでも、作ってしまえるんじゃないか。
どんなに憎たらしいしがらみもなにもかも、
今のこの、この人を覚えていられるのだったら、
何もかも厭わないだなんて、今更過ぎて笑えてしまう。
今日が終わっても、このままこのまま。
早く早く、どうにかなってよ。
あぁでも、ほんの少し怖いから、やっぱり
待って頂戴。
-------------------------------------------
私、これは銀さんで妄想してみました!
このね、切ない表現が何とも、私には思いつかない文章で大好きなのです!
可愛いよ・・・、総悟君・・・v
戻る