月の影










「――――――あ?」

声が、聞こえた気がした。








細く、強く呼ぶ声が。

けれど、

振り向き見上げた其処には、細い銀に光る月が浮かんでいるだけ。

「どうした?銀時」

呼ばれて前を向く。

焼ける臭いと赤黒い空。自分を待つ、血に濡れた仲間。

もう一度振り向く勇気はなかった。

薄紫の空と優しい色の月に誘惑されそうだった。

振り向けば、二度と戻れなくなるような、そんな予感がした―――――――











「――――――誰か・・・、」

呟いた声は茜色の空に溶けた。






もどかしくて仕方がない。

満たされない、この想いは自分の中の何処から生まれているのか。

逢いたくて。

相手も解らないのに、ただ逢いたくて。

こんな自分を変えてくれる、此処から救い出してくれる人。

それは確かにこの空の下に居る筈だと、思う。

願う。

細く儚い、白銀に光る月。

それは自分の願いの様に。

今にも消えてしまいそうな下弦の月―――――――











・・・・to be ・・・?

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出逢う、ずっと以前から引き合ってた的なのに萌え。
・・・を感じてしまって描きました。
私にしては時間掛けた!



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