真実






銀時は受け取った手紙を一瞥すると、机の上に放り投げた。
「―――――やべぇ、なぁ・・・」
呟いて、ある決心をする。
早く、一刻も早く。見つかる前に隠さなければ。


「――――え・・・?」
銀時の言葉に沖田総悟は振り向いた。
何時かその時が来る事は分かっていたが、あまりに唐突過ぎて耳を疑った。
銀時は言った。
“もう会わない”と。
確かにそう言った。
「そんなに意外か?だって元々あれじゃんよ。・・・間違い」
その通りだった。恋や愛じゃない。
二人の間にあるのは慰め、慰められるという関係。
ただ、身体を繋げて。
「・・・でもよ、あんまいきなりじゃ・・・。じゃあ俺、これからどうしたらいいんでィ?」
途方に暮れた顔を浮かべる沖田を一瞥して、銀時は口を開いた。
「――――相手は幾らでもいるだろうが」
「―――――っ」
沖田は唇を結んで銀時を見返した。
「俺から土方にでも頼んでおこうか?」
口元に笑みを浮かべ、言った銀時の言葉に答えた沖田の言葉は意外なものだった。
「・・・・断られたよ」
銀時は目を見開いた。
「あの人は潔癖なんでさァ」
「―――――じゃあ、俺は代わりだったのか」
「ちげーよ。だって、旦那は俺を拒んだりしなかっただろ?俺だって誰でもいいわけじゃねぇよ。・・・他の人にはまだ、頼んだ事ねぇけど」
「・・・なんだ、そりゃあ」
結局、誰でもいい事に変わりはない訳だ。
自分の事が一番好きだから、寝ている訳ではないのだ。
突き放そうとしているのに、心の何処かで期待していた自分が馬鹿らしくて笑いが込み上げる。
「お前が声掛けりゃ、誰だって寝てくれんよ。土方は特別じゃねぇ?」
「――――何で・・・、旦那は駄目なんだ?俺に何か悪いトコあったかィ?」
人一倍寂しがりやな彼は大きな瞳で銀時を見上げた。
そんな沖田を、銀時は無感情の瞳で見返す。
あの手紙は決断を早めるのに丁度良かったのかもしれない。
終わりだと、思った。
これ以上沖田を傍に置くと、自分の何かがおかしくなる気がする。
真実が何かも解らなくなりそうだった。
「・・・いいよ、・・・分かった」
そう言い、沖田は俯くと、銀時の着物を掴んだ。
「最後に一回だけ、抱いてくれねぇか?」
「――――・・・」
その誘惑に、銀時は勝てなかった。




「ん・・・・ぁ、ふ」
沖田は甘い声を上げた。
もう、全身が性感帯になっているようだった。
舌で指先で、弄られ嬲られた体は、些細な刺激でも全身に快楽の波を広げる。
絡み合う舌。呼吸も奪われ逃げることも出来ない。
聞えるのは、互いの吐息と隠避な水音。
それが、更に沖田の体を追い詰めていく。
「い、い・・・もっと、もっと・・・旦那・・・ぁ」
「相変わらず、いやらしいヤツ・・・・だなっ」
求めれば与えられる欲望。
激しく打ち付けられる腰を受け止めながら、次第に押し寄せる解放の時を待っていた。
その時。

“ガラッ”

突然あいた万屋の扉。沖田は朦朧とした意識を働かせそちらに視線を向ける。
「・・・いいことしてんじゃねぇか、銀時よぉ。俺も混ぜろよ」
派手な着物を羽織った男がにやにやと笑みを浮かべて、繋がる二人を眺めていた。
息を呑む沖田の身体の上で、銀時は強く舌打ちした。
見つかってしまった。
「――――何で、よりによって今だよ・・・」
「ちゃんと、江戸にいるって教えといた筈だけどなぁ?」
「早過ぎんだよ、取り込み中だよ、出てけ」
厭らしい笑みを浮かべてコチラに歩み寄る男は・・・高杉晋助。
しかし、沖田には彼が何者なのかも分からない。
「あ?誰が出て行くかよ。混ぜろっつてんだろ?」
彼は口元を歪め、息を乱す沖田の顎を掴んだ。
第三者にこんな姿を見られている羞恥心もあるのに、沖田の身体は一層感じていた。
「やだ・・・見、るな・・・・ぅあ」
「そう言いながら、さっきより腰が動いてるのはなんでだ?あ?」
「あ・・・ぁん」
更に奥まで打ち込まれる熱い杭に、沖田自身が反応する。
「お前って相変わらず、鬼畜だな。可愛そうに・・・俺が可愛がってやろうか?」
沖田は行為を止めようとしない銀時を見た。
けれど、彼は沖田を見てはいない。急に不安になった。
目の前に膝を付き、顎を持ち上げ下衆な笑みを送ってくる高杉に吐き気を覚えながらも、途切れる事無く与えられる快楽がそれを上回り、沖田は拒否する言葉が出てこなかった。
「はぁ・・・ん、あ・・・」
「可愛いねぇ・・・マジ、やべぇ。俺のも頼むわ」
そう言って、無理やり口に彼の分身を押し込まれる。
「ぐ、ふ・・・はっぁ」
「おい、勝手にすんな」
ようやく口を開いた銀時に、沖田は助けを求める視線を送ったが、直ぐに逸らされた。
その事に衝撃を受ける。
「なんだ?そんなに大事な相手か・・・?」
「・・・こんなの、ただの人形と一緒だろ」
「ふ・・・むぅ・・・は、ぁ・・・」
吐き出したくても頭を抑えられ、それ以上は下がることを許されない。
後ろからは銀時にに突き刺され、体を引きことさえも許されない。
沖田に選択肢はなかった。
早く終わらせるためには、目の前のこれの欲望を吐き出させるしかなかった
次第に大きくなる高杉に舌を絡め、なめ上げ・・・時々先端を吸い上げる。口中には、苦い先走りの液が広がった。
「―――こ、いつ・・・や、ば・・・ぅ」
高杉の呻きと共に、銀時も声を洩らした。
「・・・くっ・・・し、まる」
「ん・・・ぅふ・・・・は」
嫌なはずなのに、こんな屈辱的な行為はこんなやつにはしたくないのに。
そう思う気持ちとは裏腹に、沖田の躰の体温は上がっていく。
感じているんだ、こんな行為でも。
それすら快感になるほどに・・・。
気が付けば、自ら貪り付く様に舌をはわし絡み付いている。
「うっ・・・う、まい・・・な。よく、っ・・・仕込んだな、銀時・・・っ」
「うる、せぇ・・・っ!」
限界まで引き抜かれた杭は、一気に押し込まれその刺激で沖田の熱を解放した。
そして、銀時も沖田の中に熱い印を注ぎ込んだ。
「ひゃぁ・・・ん」
硬さをなくした杭を引き抜かれると同時に流れ出す白濁とした液の感覚が、一度達し敏感になっている体に刺激を再び与える。
それと同時に崩れ落ちる体・・・気だるさが沖田の全身を支配していた。
ふと、銀時の身体が離れ、火照った身体に冷気があたる。
しかし、直ぐに高杉が沖田の身体の上に伸し掛かってきた。
「まだ、俺が逝っちゃいねぇけどなぁ」
腰を引き寄せられ、後ろから再び打ち込めたれた熱い杭。
「う・・・やぁ・・・や、だ・・・だん、なぁ」
望んでない行為から逃れるために、助けを求めた。が、視線の先には、自分に背を向けイチゴ牛乳を飲んでいる男の姿しか入らなかった。
まるで、自分を拒絶するかのように背を向けて・・・
「や、めろ・・・・ぉ、や、だ・・・・あぁ」
「くぅ。いいねぇ・・・その声。そそられるよ・・・・ほら、もっと啼けよ。あぁ? 」
狂気に満ちた笑い声を含みながら、腰を打ち付ける男に気持ちとは反対に反応する自分の体が嫌で、自然と涙が流れる。
「ん・・・ぁ、ん・・・あ」
そして、口からは吐息と喘ぎしか出てこない。
「くくっ・・・本当にその顔、そそるねぇ」
「いい加減にしろ、入れてもいいとは言ってない」
次第に遠くなる意識の中、銀時の声が聞えた。その声に引き寄せられるように、戻ってくる意識。
でも、それを許さないかのように激しくなる行為に、流されないように必死に耐えるしかなかった。
「あ?なんだよ?・・・ただの、遊び相手じゃ、ねぇのか?」
高杉の言葉に、銀時は再び二人から目を逸らした。
「――――・・・そうだよ・・・」
「だよなぁ・・・?、くっ」
「あぁ―――」
「くっ・・・っ」
再び達し、逝ってしまった沖田は呆然とした。・・・一度も触れられる事無くただ、男の欲望を打ち付けられる行為だけで。
引き抜かれ、二人のモノが入り混じって腿まで流れ出てきていた。
「はぁ・・・・ぁ」
「・・・なぁ、銀時、これいらねぇなら俺にくれよ」
「何言ってんの?お前。見ただろ?誰とでも寝るような奴だよ?」
「気に入ったんだよ」
「ヤらせてやっただろ?こいつは高いから止めとけって」
「幾らでも払うぜ?」
そう言うと、高杉は座る込んでいる沖田の腰に手を回した。
――――だから、この男にだけは見せたくなかったのだ。
高杉には昔から、銀時が気に入った物に興味を示す癖があった。
何を言っても無駄だと悟った瞬間、銀時は自分の血の気が引いていくのが分かった。
「・・・離せ」
「ああ、やっぱりお前もお気に入りだったってワケか。悪かったな、射れちまってよ」
「――――離せ」
銀時の低くなった声に、高杉は溜息を吐くと、沖田から手を離した。
床に崩れ落ち、起きることが出来ない沖田の体を温かい空気が包み込む感覚がした。
「ぁ?・・・だ、んな?」
「・・・悪かったな・・・ちょっと待ってろ」
そう言いながら、優しく髪を撫でる手に今までの緊張がほぐれていった。
「だ、んなぁ・・・ぅう」
屈辱と嫌悪・・・それがいま、銀時の言葉によって壁が崩れ、一気に感情となってあふれ出す。
流れ落ちる涙は、床を濡らしていく。
「お熱いねぇ・・・」
その瞬間、はじけ飛ぶ高杉の体。旦那の木刀が、高杉の体を霞めていた。
「ふぅ・・・あぶねぇ。殺るのは好きだが、殺られるのは性分じゃねぇ・・・。それにしても・・・」
毛布を引き寄せ、丸まる沖田を横目で見ながら出口へと下がっていく。
「銀時よぉ、また貸せ・・・いや、奪いにくるか・・・お前から」
「・・・誰がお前なんかにやるかよ・・・二度と顔を見せるな」
「くくっ・・・そう言うなよな」
「出て行け」
普段聞いたことない銀時の殺気のこもった声に反応するように沖田が見上げれば、目が・・・目が、違っていた。
あれは、修羅場を潜り抜けて生きてきた人間の目。
だが、そんな目を見て何故だか反応してしまう体・・・もう、自分は・・・
「そう、その目だよ。あの頃のお前は、そんな目だった。思い出せ・・・あの頃を―――」
そう言うと、すばやく扉を開けて出て行った。
「・・・」
何も言わず、開け放たれた扉を閉め、沖田の元に戻ってきた銀時は、力の抜けた体を横抱きに抱え、浴室まで連れて行った。





熱いシャワーを出し、その場に沖田を置くと、一旦外に出て自分も衣服を脱ぎまた戻ってきた。
そして、後ろからそっと包み込むように抱きしめられ、一緒にシャワーを浴びる。
丁寧に体を洗われれば、さっきまでの行為で火照った体に再び熱が帯びてくる。
「ん・・・・ぁ・・・・」
「なぁに、感じてんだ?そんなに、良かったのか?」
「ち・・・・がう」
「何が違うって言うんですか・・・ぁ?これは一体何かな?」
「う、あぁ―――」
反り始めた分身を強く握られ、声にならない叫びが口から出る。
そして、反対の手は未だ流れ落ちる白い残骸を掻き出すかのように、蕾に指を入れ中をかき混ぜ始めた。
「んぁ・・・いぁ・・・」
次第に広がる痺れのような感覚。そして、それは波になって全身に広がり、自分で立っていられなくなるようになる。
背中を預け、腰に腕を回され、空いた片手は蕾を刺激する。
「ひゃぁ・・・ぁん」
首筋の線をなぞるように這わせられる生温かい感触に、沖田は首をすくめた。
「逃げるなよ・・・なぁ」
耳元で低く囁かれれば、その声色が全身に響いていく。
「ぁ・・・」
「何?声だけで感じるって?」
耳朶を咥えながら話されることによって、ダイレクトに伝わる声。
俺の反応が余程面白かったのか、音を立てて舐めたりキスをし始めた。
「だん、なぁ・・・、さっきの・・、誰・・・」
気になって仕方なかったその問いをキスの合間に口にした。
「・・・お前は知らない方がいい」
「――――でも・・・、ぁ・・・っ」
先程の男は銀時の事を良く知っている風だった。沖田の知らない昔の事も、あの瞳の事も。
「他の男を気にすんなっつってんだよ」
「・・・う・・、ん・・・っ」
飛沫の中銀時は、沖田の背後から己自身を突き刺した。
「―――それとも、お前もあいつを気に入ったのか?」
沖田は首を振った。
「だん、なが・・・、いい・・・。旦那じゃなきゃ、嫌だ・・・」
「――――最初から、そう言ってろよ」
そうすれば余計な感情に邪魔されずに、もっと上手く守れた筈だった。
不信感から、憎しみさえ覚えた先程の自分に後悔する。
腰を押し付け、甘い息を吐き出す沖田を強く抱き締めた。
ふらりと現われては、銀時の邪魔をして去って行く高杉を忌々しく思い出す。
二度と、他の奴には触れさせない。

沖田が本心から自分を望むなら、ずっと与え続けよう。

それが、銀時の真実の想いだった。












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