おまけ
「 僕は、家族から嫌われてるんだ 」
ベッドの中で、ハウルはぽつりと言った。
あの騒動の後、二人はベッドにもぐり込んで、気が抜けたように並んで天井を見上げていた。
「 どんなところなの?故郷って 」
「 こことは全く違う町並みだけど、良く似てるかも。姪と甥がいて・・・。僕は、彼等が好きなんだ 」
「 うん 」
ソフィ−はそっと隣を伺い見た。ハウルは目を閉じている。
「 でも、姉さんは僕が他の人と違うから僕のことを嫌いなんだ 」
ソフィ−は上を見たまま、ハウルの手を握り締めた。
「 私、一緒に行きたかった。嫌な事は一緒にやれば嫌じゃくなるわ。ハウルが私のことを考えてくれるのはわかる。感謝してる。でも、あの戦争の時みたいに一人で戦いに行ってはいや。私の知らないところで頑張らないで 」
ハウルは瞼をゆっくりと開けてソフィ−の方へ顔を向けた。
「 本当の家族になってくれる? 」
「 とっくにそうよ 」
「 さっき出ていこうとしたよね 」
ハウルの言葉に、ソフィ−はそうだったかしら、と呟いて、
「 マルクルはいいお兄ちゃんになると思うわ 」
楽しそうに笑った。近い未来を想像して。
「 そう言えば、マルクル呪文使えたじゃないか 」
「 そうね。明日ちゃんと褒めてあげてね。ちゃんと、目を見て褒めるのよ。そうしないと伝わらない事もたくさんあるの 」
「 僕は賛美を惜しんだことはないよ 」
ハウルの言葉にソフィ−は笑った。
いつものハウルだ。そして自分もいつもの自分。
今日の事を考えると、これから先の方がうんざりするほど長く、きっと喧嘩もたくさんするんだろう。
ソフィ−はそんなことを考えながら、心地好い眠りに落ちていった。
END