琥珀の時間



その日のオレは朝からついていない一日だった・・・

目覚まし時計の電池が、夜中のうちに切れていたらしく針は4時を前にして止まっていた。当然、起きれる筈もなく優衣ちゃんに起こされなければそのまま昼間でガッツリ爆睡!だったと思う。
何とかギリギリ間に合う時間に起こされ、朝食もそこそこに会社へ・・・が、前日にガソリンを入れ忘れほとんど残っていない状態で花鶏を出た。当然、途中でガス欠・・・
結局、会社には遅刻。道のりの半分をバイクを押したまま歩く羽目に。
仕事中は仕事中で・・・後少しで書き上げることのできる書類を、間違って消してしまい・・・最初から書き直し。挙句、財布の中身が100円しかなくガソリンどころか昼飯もありつけない!!まぁ、先輩に昼飯代とガソリン代は借りることができたけど・・・当然、給料から引かれるし。

とにかくついてない一日だったわけで・・・
なんだかいつもより疲れて花鶏へ戻ると、蓮が一人で店番してた。重い足取りで店に入り、カウンターに腰をおろす。
「なぁ、蓮。聞いてくれよ。今日、もう最悪な一日でさぁ・・・」
「・・・」
「一日・・・なぁ、聞いてるのかよ。」
「うるさい・・・俺は仕事中だ。バカに付き合う時間はない。」
「相変わらず冷たいよなぁ・・・ほんとに蓮ってさ。」
“カチャカチャ”
わざと音を立てて食器を洗い出す蓮。こうなったら、絶対に話し掛けても返事をしてくれないのだ。
「・・・いいよ。勝手に話してるから。あ〜〜、独り言ですから!」
オレはその日の、最悪な出来事を蓮に・・・きっとね・・・聞いてるはずはないと思うから、カウンターにうつぶせになって愚痴りだした。最悪な出来事・・・凹んで帰ってきて、誰よりも優しく接してほしかったのに。冷たくされてそれまで保っていた何かが崩れる。言葉とともに、あふれる涙・・・

“あれ?なんで泣いてるんだ・・・オレ。泣くほど悲しくはなかったのに・・・”

きっと蓮は呆れているんだろう。・・・それとも、全く関心ない?さっきまでしていた食器の洗う音がしなくなり、一人この場に取り残されてしまった。
静かな店内に一人・・・突然襲う寂しさ、空しさ。カウンターにうつぶせになったまま、顔を上げるのも面倒になりしばらくそのままの姿勢で時が過ぎるのを待っていた。

“コトン”

テーブルに何か置かれる音とともに、運ばれてきた香り・・・煎れ立ての紅茶のよい香りが、荒んだ心を癒していく。
驚き顔を上げると、蓮がこちらを優しい眼差しで見つめている。
「・・・蓮?」
「疲れたんだろ?コレ飲んで落ち着け。」
「れ〜〜ん〜〜」
「話、聞いて欲しいんだろ?話せよ・・・」
「いいのかっ?」
「このまま部屋に戻られたら、部屋が暗くなってかなわないからな・・・」
「暗くなるって・・・やっぱ、つめたよな。」
「・・・聞かなくてもいいんだな。」
「あ〜〜〜、ゴメン。聞いてください。」

それからは、早めに店を閉め誰もいなくなった店内で蓮がひたすら黙って俺の話を聞いてくれた・・・ただ、黙って。
そんな蓮の優しさに改めて触れ、少しだけ思った・・・

蓮がこんな風に優しいのなら、ついてない日もたまにはいいかも・・・なんて。
そしてこんな日は、蓮につつまれて眠りたい・・・と思ったことはオレだけのヒミツということで・・・




香月恵様よりvv
久方ぶりなんで、かなりキャラ違ってるし〜〜(笑)
でもって、甘いし〜〜。胃薬用意してください(うそ)
でも、アタシってもともとノーマルでエロなしばっか書いてたんだよねぇ・・・
いつからこうなってしまったのか(遠い目)

りんよりvvv
えっへっへvアップしちゃったよ〜んvvあっしは胃薬なくてもおっけ-だった!
そうねv昔取った杵柄vvノ−マル甘甘上手いです!
またもや勝手に題名つけちゃいましたv
紅茶の優しい香りに包まれた時間vvってイメ−ジでvvこんな優しい蓮ならそばにいたいなあvvv

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