モノポリー2

「天蓬。モノポリーやろうぜ」
金蝉は嬉しそうにプレステ2<モノポリー・下界バージョン>を持ってきた。
「ええ・・・新しいゲームですね。金蝉」
複雑な顔で、天蓬は金蝉を見つめた。捲廉とのことを知っている?わけはないよね。
「なに、やりたくねえの?」
不思議そうな金蝉の声。
「やりたいですよ。ふたりではなんですし、誰か呼んで・・・」
「捲廉でいいじゃん」
「捲廉、ですか」
「どうせ暇だろ。さっき見かけた」
さっき?はっとして、天蓬は金蝉の顔を伺った。

「・・・なんかあったろ。奴も様子が変だった」
「なにもありませんよ。金蝉。考えすぎです」
金蝉は疑うような顔で、言い募った。
「だったら呼んでも構わないよな。仲良くやろうぜ三人で」

捲廉の副官が、用事でこれないと言ってきたとき、天蓬はほっとして思わず笑顔が出た。
「しょうがないですね、またの機会にしましょう」
「なんか怪しいなおまえら」
金蝉は物足りない顔で、天蓬を自分の胸の中に抱きすくめた。
「なんでだろう。急に不安になった。本当はあいつと話すのを見るだけで、胸が焼けるんだ」
「金蝉・・・」
まるきり根拠が無いわけでもないので、天蓬は後ろめたさを感じる。
「僕には貴方しかいません。信じてください」
「そーゆーこという?お前口がうまいよな・・・あいつにもそんなふうに言ってんじゃねえの」
「そんなこと」
「仕事とか言うけどさ。おまえらべたべたすんなよ」
くぎをさして、金蝉は黙った。あんまり責めて、嫌われたくないとゆう自制心が働いた。
「俺、嫉妬ぶかいよな。自分でもどうかと思う。気狂いそうなんだ。お前、そうゆうことないだろ」
「ありますよ。勿論。死ぬ気で隠しとおしますけどね」
「あるんだ?へえ、おまえでも?」
急に明るい声を出して、金蝉は天蓬を見下ろした。
「そっかー、俺だけじゃないんだな。そかそか」
ぎゅううう。いたいほど抱きしめて、金蝉は無邪気に天蓬の顔を撫で回した。
「浮気するなよ。浮気したら殺す」
無邪気な言葉が、今の天蓬には痛い。
「殺して、いいですよ」
謝罪の意味も込めて、天蓬は金蝉の腕に優しく噛み付いた。
「お前が死んだら、俺も生きてはいないよ」
金蝉は天蓬の唇を噛み、そのまま押し倒すと、行為に没頭した。
ああ・・・体が持つかな。
一瞬そんな考えがよぎったが、天蓬は目を閉じて、金蝉を受け入れた。すべてを。
捲廉に比べると、荒荒しくて、まだ手探りといったところ。
それでも一生懸命さは伝わってくる。
そんな金蝉がたまらなく好きだ。どうしていいかわからない。
ふたつの魂は溶け合い、響きあう。まるでふたつで完全なひとりになるみたいに。

「ああ・・・」
甘い息が、天蓬の唇から零れた。
花びらが落ちる様に。